日本茶のおいしさ。
何気なくいただくお茶も、環境次第で、
その美味しさを何倍にもすることができます。
例えば茶道では、茶会を開く際、
茶席に「テーマ(主題)」をもうけます。
季節にまつわること、
茶会にいらっしゃるお客さまに関することや節目の出来事、
時代をにぎわせている話題など、様々です。
テーマを決めたら、
亭主はそれに合わせて茶碗や釜などの道具類、掛け軸、花などを選び、
茶室空間を作り上げます。
招いたお客さまのことを思いながら趣向を凝らすのです。
お客さまがお越しになり、お帰りになるまで、綿密に計画を立てます。
ももとせに求められているものは、非日常の空間と時間。
日常と切り離し、ハレの時間を演出し、心身共にリフレッシュすること。
これは茶道の茶会に似ています。
お店で使う茶碗や皿、家具類や書籍、
使用する抹茶や茶葉、販売する商品、照明の明るさ、
流れる音楽とそのボリューム…
そして、接客の際の所作や言葉。
茶道や茶席のベースとなる考え方を流用し、現代的に再解釈することで、
お茶とお菓子を落ち着いて楽しんでいただけるよう、「茶のあるひととき」をデザインしています。
お客さまとお茶の関わりを「時間軸」の視点からデザインする。
茶室はしばしば宇宙空間に例えられますが、
三次元の空間に「時間軸」が加わった〈四次元〉の思考からなのかもしれません。
とは言え、茶席では、
亭主はお客さまに “一方的に” 合わせることはしません。
お客さまのリアクションがあって、初めて茶席は完成します。
茶席にあるのは、お客さまと亭主が心を寄せ合う「相互の心」。
とてもインタラクティブ(相互作用制)なものなのです。
ももとせは、お客さまがお店に共感してくださることで作られる場所と言えます。
ももとせの思いがお客さまに伝わり、お客さまがほっとしてくださったとき、
ここにしかない、心地の良い時間が生まれると思います。
限定的ではありますが、お店を再開いたします。
みなさまと過ごせる短い時間を存分に楽しみたいですね。
気負わずに茶道の空気を感じながら、
穏やかに時を過ごすことができたら、と思っています。